ペットの保険のコラム
胃拡張捻転症候群ってなに?

目次
どんな病気?
何らかの原因で胃が拡張してねじれる緊急性の高い病気です。
発症メカニズムがよくわかっていませんが、勢いよく飲み食いして空気をたくさん飲みこんだ直後に、激しい運動をすると起こりやすいといわれています。一般的に「胃捻転」ともいわれています。
おもな症状
おなかの膨張や吐き気が急に起こります。
この病気は緊急疾患です。以下の症状があればすぐに受診を!!
●おなかがパンパンにふくらむ(30分から1時間ほどでパンパンに)
●ヨダレが多くなる
●吐こうとするが吐けない
●気持ち悪そうにぐったりする など
なりやすい犬
<胃捻転しやすい>大型犬
グレート・デーンやセント・バーナード、ジャーマン・シェパード・ドッグ、ボルゾイ、ワイマラナー、レトリーバー種など、大型で胸の深い犬種に多く見られます。
<胃拡張しやすい>ミニチュア・ダックスフンド
胃のねじれが伴わず、胃拡張のみが起こりやすいのがシニアのミニチュア・ダックスフンドです。胃腸の動きが弱い、膵炎を起こしているなど、ほかの要因が関連しているようです。
胃拡張のみでも命にかかわる!
胃にガスがたまってどんどんふくらむ胃拡張は、その状態が長時間続けば死に至ることもあります。大きくなった胃が胸郭を圧迫して呼吸が苦しくなったり、血管が圧迫されて血流が悪くなったりして全身状態が悪化します。
<注意したい犬>短頭種
口や鼻の構造上、呑気(空気を口から大量に飲みこむこと)しやすいことや、胃腸の動きが悪いケースがよく見られることから、胃拡張を起こすリスクが高いと考えられます。
おもな治療
早急な整復手術が必須です。予防措置もあわせて行います。
飼い主さんへの問診の他、身体検査やエックス線検査を迅速に行い診断します。 拡張した胃に臓器や血管が圧迫され続ける時間が長いほど、血流が滞って臓器が死するなど、体へのダメージが大きくなります。できるだけ早く胃の中のガスを抜き、外科手術でねじれを元に戻す必要があります。また、この病気は再発率が高いとされています。そのため、再発予防の措置として、胃を糸で腹壁に縫い留めて固定する、胃腹壁固定術も同時に行うのが一般的です。
たとえば胃捻転している場合
注射針を胃に刺して中のガスを抜き、減圧します。次に開腹し、胃のねじれを元に戻します。血流が滞ったことで胃の一部や脾臓が壊死していれば、切除するなど状況に応じた処置も行います。最後に、口から胃の中にチュープを入れ、内容物をすべて排出します。
エックス線画像にねじれた箇所が線状にあらわれている(捻転ライン)ことから、捻転していると判断できます。
経過もよく、胃は通常のサイズに戻りました。手術前の画像と比較すると、胃がどれほどふくらんでいたのか驚くほどです。
術後に急変するリスクもあります
処置によって、滞っていた血の流れが元に戻ることにより、不整脈や血栓症などが引き起こされることもあります。術後48時間は、慎重な経過観察が必要です。
予防法
ゴハンや水を一気に飲み食いした直後に、激しい運動をすると発症リスクが高くなるといわれています。そのため、早食い防止の工夫がされたフードボウルを使う、水を少量ずつ与える、食後数時間は激しい運動を控えるなど生活習慣の見直しが予防につながります。
注:この記事は、アニコム損害保険株式会社が提供する「アニコムどうぶつNEWS_2025年6月号」の内容です。
取扱代理店:パナソニック保険サービス株式会社
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