ペットの保険のコラム
僧帽弁閉鎖不全症ってなに?

目次
どんな病気?
心臓内にある僧帽弁(左心房と左心室を仕切る弁)に異常が起きてうまく閉じなくなることで、心臓の血流が悪くなる(逆流が起こる)病気です。
病気が進行すると、心臓が拡大して肺に水が溜まるなど、命に危険がおよびます。 シニアの小型犬に多く発症する心職病で発症率ナンバー1と言われています。
おもな症状
初期は無症状のことがほとんどです。 進行すると咳などの症状が出ます。
●カッカッと痰を吐き出すような咳をする
●寝起きなどで姿勢を変えると咳が出る
●元気がない
●階段の前で立ち止まるなど動きたがらない
●ガツガツ食べなくなった(食欲が落ちる) など
シニアの小型犬にとくに多く、メスよりオスにやや多い傾向があります。
7~8才ごろから発覚する犬が増え始め、ピークが9~11才というシニアに多いのも特徴です。また、興奮や吠えの行動が心臓に負荷をかけるため、このような行動が出やすいオスは、メスよりやや発症しやすいと言われています。
犬種による傾向があることから、遺伝的な要素もあると考えられます。
なりやすい犬種
チワワ、マルチーズ、ポメラニアン、シー・ズー、ヨークシャー・テリア、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
※チワワとトイ・プードルのミックスなど、小型の純血種同士をかけあわせた犬もなりやすいです。
おもな治療
治療が必要な段階に入ったら投薬をスタートします。より根本的な治療には外科手術が望ましいです。
内科治療と外科治療があり、内科治療は、心臓の働きを助けたり、負担を軽減したりする薬を服用し、進行のペースを遅くさせる目的で行います。しかしながら、うまく閉じなくなった弁にアプローチするものではないため、治すことはできません。一方、外科治療は、手術でうまく閉じない弁を修復し、逆流しない状態にする根本治療です。通常、内科治療はステージB2から行い、外科治療の対象はB2の後半からです。
重症度によるステージ分類
ステージ | 定義 |
---|---|
A | 将来「僧帽弁閉鎖不全症」になる可能性が高い犬種 |
B | 僧帽弁の病変が認められ、逆流が生じている(心雑音あり) が、「心不全」の経験はない |
1 心臓の拡大はないか、あっても軽度である | |
2 心臓の顕著な拡大が認められる | |
C | 「心不全」の状態にいる、もしくは以前に経験がある |
D | 「心不全」のコントロールが困難な重症例(難治性) |
出典:アメリカ獣医内科学会による犬の弁膜症ガイドライン
早期発見のコツ
行動や様子にあらわれる症状が出にくい段階でも、聴診で血液の逆流音(心雑音)に気づくことができます。早期発見のためにも、年2回以上は動物病院で心臓の音をチェックしてもらいましょう。逆流音があれば、エックス線検査だけではなく、エコー検査による画像診断を受けましょう。
注:この記事は、アニコム損害保険株式会社が提供する「アニコムどうぶつNEWS_2025年8月号」の内容です。
取扱代理店:パナソニック保険サービス株式会社
引受保険会社:アニコム損害保険株式会社